デジタル社会の進展に伴い、暗号資産に関連するビジネスも多様化が進んでいます。
金融庁は、金融審議会に「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」を立ち上げ、利用者保護とイノベーション促進の双方に配意しつつ、暗号資産を巡る制度の在り方について検討を開始しました。
議論のベースとされているのが、ことし4月に公表されたディスカッション・ペーパー「暗号資産に関連する制度のあり方等の検証」です。
このペーパーでは、規制見直しの基本的考え方として、暗号資産問題は金融商品取引法(以下、「金商法」)が対処してきた問題と親和性があるとして、金商法の仕組みやエンフォースメント(実効性の確保)の活用も選択肢の1つとしています。
規制見直しを図る対象を検討する場合、暗号資産の性質に応じた規制とする観点や、取引等の実態面にも着目し、ICO(Initial CoinOffering=新規暗号資産公開)やトークンセールなど、資金調達手段として発行される「資金調達・事業活動型」と、それ以外のビットコインやイーサリアムなどを想定した「非資金調達・非事業活動型」の2つの類型に区分して検討する案が示されました。
具体的な規制の見直しにあたっては、暗号資産が株式等の典型的な有価証券とは異なる特性を有することを踏まえながら、適切な規制のフレームワークを検討する必要があるともしています。
また、証券監督者国際機構(IOSCO)勧告や欧州、韓国の法制化の動き等も踏まえ、暗号資産に係るインサイダー取引について抑止力を高める観点から何らかの対応強化を検討することが必要ではないか、との見解が示されています。
ディスカッション・ペーパーの公表後、パブリック・コメントが実施され、早急な対応を求める一方、示された分類では現実の暗号資産の多様性を捉えきれるか懸念もあるなどの意見が寄せられました。
金融庁は寄せられた意見を踏まえ、早ければ次期通常国会への金商法や資金決済法などの改正法案提出を目指し、具体的な内容について議論していきます。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック